11年目のガンダム0083


 別項でも述べているとおり、私は0083を認められなかった。
まず、第一にGP-01に始まるガンダム試作X機が気にくわなかったのだ。
それはひとえにMK-Uの存在意義がなくなるから。今や初のリニアシート搭載機
という冠だけになってしまった。NT-1が許されたのは、ニュータイプ”アムロ・レイ”用
として開発されたというレッテルがあったし、デザイン的に第一次MS群のデザインを
凌駕するどころか踏襲していたからだ。
 そう、デザイン的にGP-01はいただけなかったのだ。今思えば、Vガンダムに
途中で挫折した要因の一つは、この0083を嫌った理由と同じ物に起因している。
私の、MSデザインのベクトルは大河原版、安彦版、出淵版に向いている。
簡単に言えば、河森版、カトキ版を受け入れることができないのだ。
この感じは今でも続いているが・・・。
 まぁ、Vガンダムはデザイン云々も一因ではあったが、ストーリー的に
ついていけなかったところもある。


 さて、0083であるが、ガンダムのデザインの他にも納得できないことがあったのだ。
まず、ガトーの長髪。私は男の長髪は江口洋介とキムタクくらいしか認めたくないものだ。
ロランも長髪だが、我らが宇宙世紀の遙か未来の話なのでここでは語るまい。
 そして、主人公”コウ・ウラキ”の顔。ガンダムの主人公にふさわしくないと思ったのだ。
 まぁ、これらの理由が複雑に絡み合って、0083を観ることなく現在に至ったのだ。
他にも、ビデオリリース時に多感な思春期を迎えていたため、”アニメ”ガンダムのビデオを
レンタルするのがためらわれたのだった。

 さて、今回0083を観ることになった経緯であるが、それは至極単純である。
Zを観るべく入ったスカパーで、ペイ・パー・ビューではあるが放映されたからだ。
だが、全13話一挙放送であったので、現実的にオンエアを観ることは諦め、ビデオに録った。
 ちなみに、レンタルに途中で挫折した08小隊もスカパー(こちらはアニマックス)
で完観(造語)した。

 では、本題に入ろう。


第一話 「ガンダム強奪」('2001.1.25)

 冒頭、次元の声に驚いた。ガンダムと次元。確かに、ルパンは大好きだが、
ちょっとイメージがねぇ。完全にあの声からイメージされるのは次元大介だよ・・・。

 で、その冒頭のプロローグ的一年戦争末期のジオン側の光景に疑問。
蒼いゲルググに乗っていたのはガトーだろ?だとしたら、なぜギレン総帥が死んだと聞いたとき、
(時系列な映像だよな)ドムに乗ろうとしていたのだろう?
ゲルググの方が性能良いんじゃない?仮にあのドムがノーマルなリック・ドムでは
なかったとしても、ゲルググだろうよ!

 さて、翻って連邦側だが、こちらも納得できません。まず、バックパックのテストだか
何だか知らないが、あのジム(過去の記憶によるとパワードジムだっけ?)は解せない。
左肩にセンサー(?)がついただけのジムUやネモの存在意義がねぇ。
もう、MK-Uの存在意義がなくなれば、グリプス戦時の量産型の存在意義まで奪うとは、
いただけない。私は、今を持ってしてもZに飢えているのだ。

 まぁ、だが、これは許せる!と思ったのがペガサス級アルビオン(だっけ?)。
見事にホワイトベースを踏襲している。が、ここにジオン的センスが入るとアーガマになり、
連邦デザインがフィードバックされネェル・アーガマだろうか?


 さて、10年経って、邪道ガンダムが世間に溢れ、新ガンダム・∀があったりする、
このご時世だからこそ、私は”ガンダム”を求めて0083に心を許し始めたのだろうか?
 だが、そんな私にも解せないことがあった。たった一話を観ただけなのに・・・。

 まず、GP01、GP02がアナハイム製であるということ。
0083年だろう?一年戦争後3年で、ジオン系のアナハイムがいくら技術に
優れていたからと言ってガンダムを開発する(させる)か?
大体、MK-Uはアナハイム製じゃなかったはずだよ。NT-1が一年戦争時最後の
ガンダムだったとして、NT-1は北極基地じゃなかったっけ?
 GP-01、02系を入れて、アナハイム・ガンダムにつけられる接頭辞、γ、Z、ν、
は正しい順になるのだろうか?リック・ディアスがドムを踏襲したデザインなのに、
γガンダムと呼ばれているのは、ガンダリウムγを初めて使ったモビルスーツだからでしょ?
それでは、GP01はγ以前のアナハイム・ガンダム歴に入っているのだろうか?
もう、MK-Uファンと言うのを抜かしても気になるし、納得できない。

 そして、アナハイムついでに言うと、コウの上司(教官)は、
アンナ・サハリンじゃなくてアナハイムの女性SEに、「アナハイムの方でしたか」
と謝るとも尊敬するとも取れる言動をとるが、これも納得できない。
アナハイムってジオニック社のある意味残党じゃないの?おかしくないか?


 さて、件(くだん)のGP01であるが、初出時のシルエットは、確かにRX-78-2的ではあった。
ちゃんと、角(アンテナ)は白かったし。見事な映像である。だが、その角が大きすぎるよな。


 また、デザインの話に戻るが、明らかに悪役顔のGP-02であるがどうして核搭載機なんだ。
で、どうしてそれをジオン残党が盗み出せる?
 それにしても、驚いたのは、形は別にしろ、ガンダムは盗み出すもの
というセオリーを踏襲していたこと。


第二話 「終わりなき追撃」('2001.1.28)

 ただ今、日曜日24:30過ぎ。”いきなりターンエー〜”を書いていた頃が懐かしい。
よく日曜夜に書いていたものだ。

 いきなりだが、STARDUST MEMORYのロゴはどうにかならなかったのか?
どうして、あんなに崩した筆記体(?)なんだ。他のシリーズのロゴはきっちりしていたのに、
ちょっと軟弱じゃないか?くねりすぎ。

 さて、核弾頭搭載GP02を盗みだしてジオン(ガトー)だが、どうしてガンダムを盗んだんだ?
ジオンにはジオン流のMSの美しさがあるだろうに!現に連邦兵には思想云々で呆れているのに。
ジオンモビルスーツの持つ心理的影響(?)、力強さはどうしたんだ?
 核弾頭が欲しくて盗み出したならいいのだが、いくら追撃されたからといって、
連邦製MSで闘うなよ。自前のジオン製モビルスーツで闘えよ。
 それとも、連邦が回収したザクを使っているから、それに対してガトーにガンダムで
闘わせたのだろうか?

 GP02の逸脱した(ある意味この時点で巨大化したMS出現、フォーミュラー計画は
もっと早く計画されるべきじゃないか?)容姿に対して、かろうじてガンダム・フォルムを
残しているGP01だが、安心した。リニアシートじゃないね。当たり前だよ。
MK-Uがかわいそすぎる。でもどうしてコア・ブロックシステムが残ってるんだ?
アナハイム製なのに。あぁ、でも球形の脱出ポッド=リニア・シートがないからいいのか・・・。
そして、操縦桿もまだスティック式ではなかったな。よろしい!

 ところで、コウの上官(バニング中尉?)の乗っていたジム系MSは何だ?
顔はジムだが、胴体はどこかMK-Uを思わせ、それでいて”ランドセル”はガンダム・ジム
のそれだし。このシリーズの売りはああいう中途半端的(失礼!)MSか?

 でもあれだね、見出すと面白いね、それなりに。世に、ガンダムの名を冠した
へなちょこロボット・アニメがはびこったりしていると余計に。
 まだ二話しか観てないが、ストーリー展開はいいかも。08小隊は、各話は
面白かったけど、連続性が感じられなかったし。ポケ戦は、違う視点のガンダムとして
完成度高いけど。純粋ガンダムストーリーとしては、この0083かな。
 でもね、最近思ったのは、やっぱり富野思想が根底に流れてないと駄目。
そういう意味でも∀は興味をそそられたのだ。

 そういや、∀でホワイト・ドールとボルジャーノンが併歩していて、
”いきなりターンエーを語る”ではガンダムとザクが併歩しているの見たことない!
と書いたが、それは正しくなかったのかも。現にコウのGP01とキースのザクが並んで
歩いていたし・・・。
 

第三話 「出撃アルビオン」('2001.3.3)

 前2話を観たときも思ったのだが、STARDUST MEMORYのロゴが筆記体(的)なのは
いただけない。ガンダムらしくないよ。やっぱロゴは角張ってなくっちゃ!

 さて、内容にふれる前に思ったこと。どうして連邦製MSのシールドは連邦マーク入りの
シールドじゃなくなったんだ?連邦マーク入りシールドとは、RX-78、RGM-79等が持つ
赤地に黄色い十字の連邦マークの入った盾。
 GMの発展系しかり、ガンダムMK-Uしかり・・・。あれ?GMVはどうだったっけ?
とにかく、”連邦!”と主張していたあの盾こそ、デザインよりも踏襲べきものだったんじゃないか?

 で、またデザイン云々だが。この件に関しては、個人の趣味がもろに出るので、
各自賛否両論であろうが、私が納得できないことははっきり言わせていただく。
GP-01、まず胸が突出しすぎ!RX-78に比べて胸が厚いのは顕著だと思うが、
RX-178等後継(?)MSに比べても0083だけがそうなのは変じゃないか?
 また、ジオン側もしかり。ザクの胸おかし過ぎじゃないか?なぜあんなに出っ張っている?
あれは明らかにおかしい。どういうセンスだ?そう、B-CLUBであれを見て0083を敬遠した
のもまた事実である。
 ついでに、GP-01についてもうちょっと言っておこう。どうしてコックピットが上下に開く?
3年で一気にその方式に行くのか?この機体のコア・ブロックシステムがどうなっているのかは
確認していないので歯切れが悪いが、ちょっと時代を先走り過ぎなような気がするよ。

 さて、今回のサブタイトルでもあるアルビオンであるが、その艦長シナプスこそ
艦長という名がふさわしい貫禄があるな。ブライトが若すぎるって話もあるが・・・。
ヘンケンも艦長と言えば艦長だろうが。ジオン艦の艦長、例えばハマーンの旗艦の艦長は
艦長のそれである。ただ、我々視聴者にとってガンダム世界の艦長はブライトのイメージが強いために
シナプスが新鮮に見えたのだろうか?
 ただ、彼も厳格な軍人として描写されているかと言えばちょっと?であることは否めない。

 で、そのアルビオンに増援に来たパイロット、について語るかと言えばそんな野暮なことはしない。
彼らを連れてきたミデアについて。あれはミデアだよな?でもどこかアウドムラを思わせる。
が、しかし、アウドムラはガウは源流だろう。そう考えるとちょっとおかしくて、
私の思いこみであろうか?でもアウドムラみたいだよな。小型だけど。


 まぁ、これに続くはずのZ等を考えるとどうしても斜に構えて見てしまい文句も多くなるが
おもしろい!よ、実際。13話もあるから他のOVAに比べて確実に(次回を期待させる)
ストーリー性があるように思えるから。


第四話 「熱砂の攻防戦」('2001.3.3)

 GP-02を盗んだガトーを追ってアフリカに来たアルビオンであるが、やはり地球上で
ジオン勢力が残っているのはアフリカであるのか。この辺はアフリカ戦線、そしてZZの
青の部隊等に通ずるところなのだろう。こういう凝り方は大歓迎だ。
 そして、コア・ファイターで偵察していたコウが「キリマンジャロ周辺異常なし」
なんて言っていたが、この時点で連邦のキリマンジャロ基地はどうなっていたんだ?
Zで百式とゼータがここに降り立ちカミーユがフォウと再開した地。
わざわざ、オーストラリアから来た部隊が偵察するなど、キリマンジャロ基地は
正常に機能していないのであろうか?

 さて、今回特に気になったのが、ジャブローの士官がニナに”ルナニアン”と言ったこと。
アースノイド、スペースノイドの他にもルナニアン=月面人(?)という呼び名があったとは!
これは、ムーン・レイスのディアナ様もびっくり!

 ”ソロモンの悪夢”ガトーであるが、彼はかなりのカリスマ性の持ち主なのか?
ガルマに匹敵、いやそれ以上?ジオン軍人らしいの良いのだが、ジオン・ズム・ダイクンそして
それを受け継ぐシャアの思想に共感する私としては、やはりシャアのカリスマ性の方に
惹かれる。ただ、それを否定する(逆シャアの)アムロの思想も理解できるが。
つまりは、富野思想であろうか?だから、どんなにOVAが面白くても、結局は富野作品なのである。
∀をその髭ガンダムだけで否定する輩は、ガンダムの魅力はMSだけでないことを再認識し、
ビデオなりDVDをレンタルでもして見て欲しいものだ。

 そして私の懸念を解消してくれるかのような、アナハイムのスパイ。
やっぱりアナハイム経由でジオンのスパイが連邦に潜入するか。これもいい感じの
設定だね。

第五話 「ガンダム、星の海へ」('2001.10.12)

 半年振りの0083だ、残念ながら。別に、昔のように0083を忌み嫌って観なかった
わけではない。日本と中国を往復していて、短い日本の滞在中には、構えて
ガンダムをみることはできなかったのだ。エンターテインメントとして、気楽に
観るのが本来の姿だと思うが、今さらそうはできないのだ。それができていれば、
10年前に、いや少なくとも10年後の21世紀になってから0083を観ることもなかっただろう。
今、富野思想でないガンダムを見る場合、その意義を噛み締めながら見なくてはいけないのだ。
(でも、富野思想がない分、身構える必要もないのか?)

 さて、半年振りのオープニング。エンディングの曲名が表示された後、
ガトーの駆るGP-02がビームサーベルを抜いたことに対する、GP-01のアクション、
つまり、ビームライフルの掃射だが、このガンダムアクションは、さすがと言うべきか、
RX-78の面影がかなり残されてるな。まぁ、当然と言えば当然のことであるが。

 では、本題(?)に入ろう。
GP-02を盗んで宇宙に戻ったガトー。そのガトーの乗るムサイに後方から迫る
味方のはずのザンジバル。そのザンジバル・シーマ艦隊はジオン軍に潜む
海賊”か?
まぁガンダム盗む連中も海賊と言えば海賊だが(←ガトーに対して)
同じガンダム盗んだアムロ・カミーユ・ジュドーは完全な民間人だったから
海賊ではないでしょ。盗人かもしれないけど。

 そんなわけで、TVシリーズ3作と唯一の長編OVA(∴ストーリーがしっかりしてるはず
と現時点では思っているが・・・)を比較しまくりなのでした。
コウは執拗にガンダムにこだわってるけど、それはどうしてなのでしょう? ジオン軍人やヤザンじゃあるまいし(笑)。
で、思ったのが、コウもバニング中尉もどうして軍人になったのだろうかと。
特に、コウ。若さ的に、MSに乗りたいから、それともガンダムに憧れて?
少なくとも彼等には、時代を変えてやるって思想はないでしょ。
自分の思いを実現させるための手段としてパイロットをやっているわけではない。
(別に、アムロやカミーユがそうだと言っているわけではなく。↑はシャアか・・・)
少なくともジオン(≠ダイクン)思想=ギレン思想の危険さはわかっていて、
それに対抗する手段としての軍人であろうか?
方や命を守るため、見返すため、生きるために、ガンダムを盗み、その結果
自分の意志とは関係なく戦わざるを得なかった戦士たち。
そして、自分の理想のMSを目指すエンジニア(”マッドエンジニア”テム・レイも含む?)
少なくとも、今の俺に一番近いのは、冷静(?)に食事を続けるニナに思えた。
一応、技術者の端くれだし、俺・・・。

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